現役!理学療法士が教える30の腰痛改善法

日本人の80%が経験したことがある腰痛。体の専門家である理学療法士からの視点から、その改善方法をお伝えします。


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変形性膝(ひざ)関節症

変形性膝関節症② 自分で出来る治療・リハビリとは?

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先ほどの記事では変形性膝関節症の症状と手術についてお話しました。これからの記事では、皆さんが自分自身で出来る改善方法、リハビリの方法をお話したいと思います。少し長い記事となってしまいますが、とても重要な内容ですので、ご覧いただけたら幸いです。

 

自分で出来る変形性膝関節症のリハビリとは?

まず初めに、誤解を招かないために、自分自身で改善できる範囲についてお話をさせて頂きます。変形性膝関節症とは関節(骨面)の変形であり、関節面がすり減り、デコボコになっている状態です。この膝関節の変形そのものを治すことは、残念ながらリハビリでは不可能です。変形した骨は手術等の方法で除去するか人工骨への置換をしない限りは治りません。

でも、自分で出来ること、リハビリはたくさんあります。

変形性膝関節症から発生している痛みを軽減・改善すること、動きの悪くなった膝関節の動きを良くすること、筋力の低下した筋肉を強化すること、これ以上の負担・負荷を膝関節にかけないように工夫することは可能です。正しい運動学・解剖学の知識を持ってすれば、自分自身で可能です。では、これからその方法についてお話させて頂きます。

 

具体的な変形性膝関節症のリハビリの内容

変形性膝関節症の痛みを改善するには下記のことが必要です。

①膝関節とお皿の関節可動域を改善させる

②変形性膝関節症の筋トレ

③変形性膝関節症のストレッチ

④インソールや装具・杖を使う

⑤動作時に痛みが起こらないように工夫する

 

この5つについてもう少し詳しくご説明させて頂きます。少し難しい内容となりますが、自分の膝の痛みを改善させるに、何のためにこの運動が必要なのか?理解する必要があります。頑張って読んでもらえたら嬉しいです。

 

①膝関節とお皿の関節可動域を改善させる

変形性膝関節症では関節面がボコボコになっているため、関節の動きが悪くなり、本来なら膝を曲げ伸ばしした時に上下に動くお皿(正しくは膝蓋骨:しつがいこつ)の動きも滑らかさを失っています。また、変形性膝関節症の方は痛みがあるために膝を積極的に動かすことを敬遠しますので、膝関節がどんどん硬くなり、同時に膝の周りの筋肉も縮こまっていきます。そうすると膝関節は動かしにくくなり、それが痛みに増悪へとつながる悪循環となってしまいます。

ではどのように改善していくのでしょうか。

誰しも膝関節の中には潤滑油が存在ししていますので、その潤滑油を最大限に利用しながら、痛みが出現しないように膝関節、お皿を動かしていきます。動かしやすくなった膝関節では、際など今までは痛みを感じていた立ち上がりや歩行の動作で痛みを軽減することが期待できます。

具体的には膝関節を正しい方向でに動かすこと、膝蓋上包・膝蓋下脂肪体・内側膝蓋支帯・外側膝蓋支帯という部分を揉みほぐし、お皿の動きを改善させていくことが必要です。膝関節とお皿の動きが改善されれば、関節の動きの悪さから発生していた痛みが軽減されていきます。変形性膝関節症の治療においては絶対に必要な内容です。(次の記事で詳しい方法をご説明します)

 

②変形性膝関節症の筋トレ

変形性膝関節症の方は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という大腿部(太もも)から膝を覆うように分布している筋肉に筋力低下が起こります。また、大腿四頭筋とは4つの筋肉(1外側広筋、2内側広筋、3中間広筋、4大腿直筋)から形成されており、中でも特に内側広筋という大腿部の内側にある筋肉の筋力を改善させることが変形性膝関節症の治療では大きな効果を発揮します。

その理由は、変形性膝関節症では歩行時に足を地面に接地してから、足に体重をかけていくときに、膝関節が外側へ動揺(横滑りのような感じです)するという現象が多くみられます。これは専門用語ではラテラルスラスト(外側動揺)と言います。この外側動揺が起こると、正常歩行の場合と比較して、膝の内側への負担は約3倍になります。変形性膝関節の方はO脚である場合が多く、O脚の時点で膝関節の内側に大きな負担がかかっている状態です。それに加えて歩行時の膝の外側動揺の負担が加わることで、更に膝の負担は大きくなり、それに伴い痛みは増悪し、変形性膝関節症は進行してしまいます。この外側動揺を改善する筋力の作用をもっているのが大腿四頭筋、特にその中でも内側広筋という筋肉です。

また、膝関節の周囲の筋肉を鍛えるということは、膝に自前のサポーターを巻いていることと同じ意味になります。しっかりした筋肉が膝周囲の筋肉についてくれば、その筋肉が膝を支えてくれるので、その分痛みが軽減され、立ち上がり・歩きやすくなります。その他、お尻の筋肉など、正しい姿勢で歩くために必要な筋肉の筋トレが必要です。このような理由から変形性膝関節症の治療において筋トレは必須項目です。

 

③変形性膝関節症のストレッチ

変形性膝関節症では膝が曲がった状態になる場合が多く、そうするとそれに伴い股関節も曲がり、腰をかがめたような姿勢となります。このような姿勢で生活していると腰・膝への負担が大きくなり、膝の痛み以外にも痛みが現れやすくなります。このような姿勢の時に硬くなりやすい筋肉は、太ももの筋肉、太もも裏~膝裏の筋肉、股関節部分の筋肉、ふくらはぎの筋肉です。これらの筋肉をストレッチし柔軟性を改善させることは、姿勢を正すことになり、姿勢不良により痛みの発生を予防することが出来るため積極的に行っていく必要があります。

 

④インソールや装具・杖を使う

変形性膝関節症の場合、膝がO脚変形となっている場合が多く、O脚変形になると膝関節の内側に常に負担がかかっている状態となります。この膝関節の内側への負担が蓄積していくと、膝の変形は進行し、膝の痛みは増悪します。このO脚を修正するための工夫として、インソール(靴の中敷き)を足裏の外側(小指側です)が高くなるように入れ込むという方法があります。これはインソールを入れることで、足部分の角度が変わり、その影響から膝の内側の負担を減らすという方法です。

また、装具や杖を使うことで膝への負担を減らすことも出来ます。膝を装具で固定することは、弱った筋肉の補助となり、ぐらつきがあり不安定であった膝を固定することになります。固定すると膝の痛みは軽減され、立ち上がりの動作や歩行もしやすくなります。杖についても、正しい杖の長さや方法をしることで、膝への負担を大きく減らすことが出来ます。上手に道具を使うことは、痛みの発生を抑え、質の高い生活を送ることにつながります。インソールや装具・杖などはすぐに取り外しが出来るので、TPOに合わせて使用できるのも大きな利点であると言えます。痛みを我慢するのではなく、道具を使い、痛みを軽減する方法を選択しましょう。

(※O脚変形となっていないタイプの変形性膝関節症の方はこのインソールについては該当しません。ご注意ください。)

 

⑤動作時に痛みが起こらないよに工夫する

変形性膝関節所の方は立ち上がるときや歩く際、膝に痛みが現れる方がとても多いと思います。変形性膝関節症は関節面が変形しデコボコになっている状態だから、「痛みが現れるのは仕方がない」と思っている方はいませんか?

そんなことはありません。

正しい知識を持ってすれば、痛みを軽減させることが出来ます。具体的には、上記①(膝関節とお皿の動きを改善させる)を動作の前に準備として必ず行うことや、歩行時の膝の外側動揺が起こらないように注意を向けること、いつも無意識に立っていた立ち方を痛みの少ない方向から立ち上がるようにすること、左右比較して痛みの少ない方から立つこと、手すりなどに手をかけて手の筋力を借りて立つなど、出来る工夫は無限とあります。

このような小さい工夫を積み重ねることで、より快適な生活が送れるようになります。正しい知識があれば、出来ることはたくさんあります。

 

以上、簡単ではありますが変形性膝関節症の方が自分自身でできるリハビリの内容をご説明しました。

次回の記事より、①膝関節とお皿の関節可動域を改善させる、②変形性膝関節症の筋トレ、③変形性膝関節症のストレッチ、④インソールや装具・杖を使う、⑤動作時に痛みが起こらないよに工夫する方法を順番にご説明していきたいと思います^^

変形性膝関節症の治療においては大変重要な内容となっています。記事全体としては長くなりますが、痛みでお悩みの方、ぜひご覧になってください。


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